人気ブログランキング | 話題のタグを見る

クメール最大遺跡、大プリアカーン

先月、シエムリアップで安いドラフトビアを飲んだくれてた僕は、ひょんなことから「クメール5大遺跡めぐり」という記述を目にする。

「クメール5大遺跡」というのは、
   - 7世紀の真臘(チェンラ)の都 
     「サンボール・プレイ・クック」
   - 10世紀の幻の都
     「コーケー」
   - クメール最大遺跡と言われる
     「プリアカーン・コンポンスヴァイ」
   - アンコール・ワットと同時代の巨大寺院
     「ベンメリア」
   - 四面仏塔と千手観音レリーフの美しい
     「バンティアイ・チュマール」
を指すらしい。

どういう基準でくくっているのか異論もあるけど、もともとヨーロッパの学者が言い出したものが、最近旅行者の間でよく引用されているみたいだ。
コーケーから戻ってきたばかりの僕は、ベンメリア、サンボール・プレイ・クックバンティアイ・チュマールに行ったことがあるので、、あとプリアカーン・コンポンスヴァイに行けば全制覇だなと思った瞬間、これはついでにプリアカーン行っとかないとバンコクに戻れないという気分になってしまった。

早速ゲストハウスに戻って、車の手配を依頼するも、スタッフの誰もプリアカーンのことを知らない。ガイドブックにも載っていないので、こちらもうまく説明できない。
地図で調べてみると、アンコール、ベンメリア、プリアカーンは、かつてのクメールの「王の道」に沿って同じ東西軸に一直線に並んでおり、アンコールから40km真東に行くとベンメリア、さらに真東に60km行くとプリアカーンに辿り着くはずだ。

ようやく、道に詳しいという若い運転手をゲストハウスが呼んでくれたが、彼の答えは、そこには行けない!の一言だった。そんなはずない、紀行がネットに載ってる、と説明すると、でも1日では辿り着けない、と言う。さらにいろいろ調べてみると、ベンメリアまでは道路が整備されているものの、そこから先は道なき道で、片道10時間を要するようだ。
うーん、これでは、4輪駆動車と運転手の2日間レンタルで、時間も費用も嵩んでしまう。泊まるところの当てもない。確かに数年前までヘリコプターをチャーターしないと行けないと言われていたようなところ。

いろいろ考えを巡らすと億劫になって諦めかけたが、夜またゲストハウスのレセプションで、最初に尋ねた男性スタッフが、プリアカーンに行けるという運転手を見つけましたと話しかけてきた。何でも、東に真っ直ぐ走ったのでは道が途切れてしまうので、まず国道6号線を南東に突っ走り、ストン(Stoung)の村あたりから北上する片道3時間半ほどの新ルートがあるという。
やったね!

翌朝6時、ゲストハウスに迎えに来たランドクルーザーにはふたりのクメール人男性が乗っていた。ひとりはこの車のオーナードライバーで、以前テレビの取材でプリアカーンに行ったことがあるらしい。もうひとりも職業は運転手だが、プリアカーンのすぐ近くの村の出身なので、今日はナビゲーターとして同乗してくれているとのこと。追加料金は取りませんから、とニコニコしている。


早朝の国道を時速約100kmで快調なドライヴのスタート、途中ストンでクイティウの朝食を済ませ、ここから農道に入るが、それでも80kmぐらいで飛ばしている。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_2233189.jpg

このまま遺跡に到着できるんなら楽勝と思われたが、だんだん道は荒れて狭くなり、2時間も経つと、巡航速度は20kmほどに落ちる。途中で生きた豚を運んでいるおじさんたちと出会ったが、道が狭くてオートバイとすれ違うにも一苦労。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_223495.jpg

橋がなくて川底を渡るところが4箇所あり、乗用車やヴァンでは絶対に行けない、の説明に改めて納得。2度ほどぬかるみからの脱出に苦労したし、この調子じゃ、おそらく雨季にはランドクルーザーでも辿り着けないと思う。道が消えてしまって、草むらをどっちに進んだらいいか全く見当のつかない場所もあって、地元出身ナビゲーターの必要性を痛感する。

このふたり、とてもいい人たちやったんや。ありがとう!

なんだかんだで4時間近く、車はプリアカーン・コンポンスヴァイの北東正面に到着。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_2241177.jpg

入り口でヒマそうにしていたバイクの兄ちゃんに入場料5ドルと言われて素直に渡してしまったが、考えたら、入場券のようなものはなかった。

まだ訪れる人もなかったベンメリアに初めて行ったとき、地元警察に金を渡し、彼の後をしっかり着いて行かないと地雷を踏むと脅された。確かに、すぐ横では作業員が地面に這いつくばって慎重に地面に棒を刺して地雷をチェックしていた。近すぎやろ、これって。
このバイクの兄ちゃんがあんな風に先導してくれるのかと思ったら、勝手に中に入れと指差された。地雷は、日本の協力により2006年4月に除去されましたと看板にある。めちゃ広そうなのに、ホンマかいな?

ジャヤヴァルマン7世の様式を感じさせる搭門をくぐって、巨大伽藍に入る。全くの静寂の中、遠くの鳥の鳴き声と近くに虻の羽音だけが聞こえる。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_245853.jpg


参道右、巡礼者の宿泊施設だったダルマサラだ。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_2453215.jpg


ひたすら真っ直ぐ進むと、回廊の入り口に着いた。回廊に入ろうとして、テラスから後ろを振り返ると、さっき入ってきた搭門はすでに森の中でもう見えない。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_247455.jpg


回廊の内側。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_2585013.jpg

クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_259855.jpg


近づいてみると、見事なレリーフ、繊細で保存状態もいい。でも、残念ながら、ここにいたはずのデヴァター(女神)は盗掘されている。たぶん、とても美しかったんだろう。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_322480.jpg



プリアカーンを出ると、車はすぐ近くのプリアストゥンに寄った。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_3102292.jpg

バイヨンのような四面仏塔。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_3123316.jpg



巨大なバライ(大貯水池)もあり、かつてバライの中心寺院だったメボンも残っている。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_315260.jpg

塔を支えているガルーダ、イカしてるね。こいつはアンコールのプリアカーンにもデザインが似ていると感じた。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_3171288.jpg


バライの東岸にはプリアダムレイ(聖なる象)というピラミッド形式の寺院があった。このかたちはコーケーで見たプラサート・ダムレイの流れだね。手前にはナーガのテラス。
クメール最大遺跡、大プリアカーン_f0136038_3215280.jpg


ってなことだった、プリアカーン・コンポンスヴァイ。無事に来れてよかった。
カンボジアもなかなか奥深いけど、これで、しばらくはもう来ないかも・・・(笑)


by phraganet | 2010-06-18 03:34 | カンボジア

アジアを歩けば何に当たる?タイやインドでの煩悩な日常と、気ままな旅のメモ


by プラがね: