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シュリナガルのハウスボートと太陽寺院

夜明けと共にデリー発ゴーエアでシュリナガルに飛ぶ。ジャンムー・カシミール州に足を踏み入れるのは初めて。シュリナガルの空港ターミナルに着くと、外国人登録書類に記入するよう係員が言い寄って来た。あれ、外国人って僕らだけ?

迎えの車で空港を出ると、まず物々しい兵士の数の多さに驚く。町はまるで中央アジアに来たかのようなイスラム世界。シュリナガルは印度の中で今やむしろ平和な町になっているが、紛争地帯の印象が強く、なかなか旅行者は増えないみたい。

車は国道1号線を町とは逆の南へ、サフラン畑と水田の中をドライヴ。道端にはサフランの土産屋とバット屋がぽつぽつ現れる。このあたりは上質のクリケットバットの一大産地らしい。小一時間でアナントナグの町に着くと、ジャンムーに伸びる国道をまっすぐ進まず、車は二股を左に折れてのどかな農村に入った。
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ここにあるというマルタンダ太陽寺院を訪ねて来たのだが、表示も何も出てないので、運転手もどこから入っていいかわからず、村の人に何度か聞きながら、農家の軒先の狭い農道を登ると、整備された遺跡公園の入り口があった。

おお!


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回廊の正門をくぐった内部
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錆びきった案内板を読むと、8世紀のカシミール様式の太陽寺院とある。正面の左右に彫刻されているのはガチョウに乗ったヴィシュヌ、門の内側はガンガとヤムナというそれぞれ河の女神だそうだが、長い年月の間に風化してはっきりとは見えない。
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寺院そのものも大きくて立派な構えだが、周りを囲む回廊もかつてはさぞ美しかったろうと思う。
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すっかりイスラム色の強い現代カシミールだが、昔はここにヒンドゥー国家が成立していたのだと思いを新たにする。

帰りの道中パルワマという町に戻り、マルタンダと比べると少し小ぶりなアヴァンティプルの寺院跡に寄る。こちらは9世紀の建立とある。
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近くにもうひとつ寺院遺跡。
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午前中に寺院巡りを終え、ハウスボートにチェックインして昼食にしましょうということで、一路シュリナガルへ戻る。シュリナガルのハウスボートは湖に漕ぎ出すわけでなく、岸に固定されたままだが、「カシミールのライオン」という名の寝室からデッキまで50m以上ある豪華な作りの船の貸切はとても贅沢な体験だった。
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しかも人のいいキャプテンが食事から何から付きっきりで面倒見てくれるし
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ハウスボートで一休みして、夕方から町に出た。
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町からの帰りにタンドーリで焼立ての丸いパンをおやつに買った。7月はラマダンに重なって、もう少しでマグレブの時間なので、おじさんたちもサフールにパンの焼き上がり待っているのか。
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翌朝、今度は北に向かい、ソナマルグまで2時間半のドライヴ。
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その後ポニーに跨って氷河の麓まで散歩。下界の蒸暑さがうそのような涼しさ。
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またシュリナガルに戻って、手工芸のお宅を何軒かお邪魔した。
これはアリという鈎針を使う刺繍。
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こちらはカニ、針を使わず手で織る高級品。見ていて気の遠くなる作業。
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古くからそれぞれの家庭に伝わる、雪の閉ざされる季節の手工芸。どこのうちでも優しく歓待受けて感動した。

3日目の最終日はダル湖周りのムガールの庭園を回った。
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シュリナガルはムガールの都のひとつでもあった。周囲の山々から雪解け水が集まるこの澄み切った水の都を、ムガールの王も愛した気持ちがよく分かる。


by phraganet | 2014-09-07 15:54 | インディア

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