7月のモンスーン期真っ只中にキナウル・スピティを巡った。
チベットから
アルナーチャル、
ブータン、
シッキム、
ネパールそして
ラダックとヒマラヤの麓をぐるり回った身には、ヒマーチャル・プラデーシュ州のキナウル渓谷とスピティ渓谷がミッシングリンクの秘境になっていたので、シムラから入ってロータンパスからマナリに出てくる反時計回りのコースを選んだ。
友人と合流し、夜中のデリー駅でコルカタから大幅に遅れてやって来た寝台特急に乗り込み、翌朝終点カルカでトイトレインに乗り換えて、シムラまで標高差1420mを登る。
キナウル・スピティの長い道のりを1週間で回るため今回はシムラの街に寄らず、サトレジ河沿いに車で一気にサラハンに向かう。サラハンの村ではちょうどリンゴの収穫期を迎えていて、村人たちが荷台のカゴにリンゴを満載していた。
サラハンで宿泊した州政府系ホテルは名刹ビマカーリー寺院のすぐ向かい。天気が悪いこともあって標高2300mで肌寒さを感じた。この後スピティでは4000mを越えるのに、出だしから旅の先行きが不安になる。
翌朝小雨の中を歩いてビマカーリー寺院に参拝する。初めての木造ヒンドゥ寺院。
静かなとてもいい雰囲気。靴を脱いで中まで無料で参拝させてもらえる。
キナウル周辺でよく見るテパングというフェルト帽。
朝食の後サングラに向けて出発したが、途中で大雨に遭い、轟轟とダムから斜面を流れ落ちてくる水量に圧倒される。
後で知ったが、ちょうどこの時期ネパールやブータンでも豪雨による災害が起きていたころ。本当はこのままチベット国境近くのチットクル村まで行くはずだったが、雨で道路が閉鎖されたとのことで断念。サングラ近くのキャンプでテント泊。
翌朝は明るい陽が差し、近くのカムルー村に行って、カマキヤデヴィフォートという要塞寺院に登った。
麓の寺院でくつろぐおばあちゃん達に写真撮らせてもらったら、なぜだかお供え物のクッキーを持ってけと数枚渡された。おおきに!
フォート頂上のヒンドゥ寺院。ええとこやなあ、ここも。
サングラを出て、サトレジ河対岸にあるレコンピオの町にちょうどお昼頃到着し、チベット国境すれすれのセンシティヴな地域であるキナウルとスピティの境を通り抜けるためのILP(入境許可証)をここで申請する。
役所でパスポート渡して写真を撮られ、手続きに1時間ほど待てと言われたので、町に出て屋台でパコラをつまむ。
無事にA4にプリントされたパーミットを受け取って、そのままカルパ(標高3000m)に進んでホテルKinner Villaにチェックインすると、部屋の窓いっぱいにキナウルカイラス(6050m)が見えた。なんでもカイラス山(チベット名ガンリンポチェ)に住むシヴァが冬の間だけここで過ごすと言う。
まだ陽が高かったので、夕方隣のロギ村まで4kmのトレッキング。
擦れ違いざまに通じない会話を交わしたハンサムな牛追いのおじいさん。たぶんヒンディ語だったと思うけど、答えられなくてごめんなさい。
ロギ村のヒンドゥ寺院、ここでは定番の木造り。
翌朝キナウルカイラスから陽が昇ると同時に、今度はカルパ村の中心にシルエットが映えるナラヤンナギニ寺院目指して散策に出掛ける。
カルパ村を通り抜ける。
イカした郵便ポスト発見。
逆光の中荘厳に見えた寺院は近くに行ってみるとまだ新しい建物だった、あらッ。
この日はいよいよチベット文化圏のスピティに向かう。途中ジャンギのチェックポストでパーミットを見せて通過。
しばらく行くと、道路右手に古い砦が見えた。
プーの村を通り過ぎ、チベットから流れ来るサトレジ河に別れを告げ、替わってスピティ河沿いを上流に向かうと、道がだんだん悪路に変わる。
チベット国境近くを北上するうち、道路はスピティ河を左下に見下ろしながら一旦東に外れ、標高3600mを超えるまで一気に高度を上げていく。
ランチ休憩にナコに寄った。とても風光明媚な村だが、こんな高地になんで人が住んでいるんだか、不思議な気持ちになる。
村のみやげ物屋を覗いたら、店のおばさんに杏の実を頂いた。めちゃうまい!
キナウルではずっとカレーを食べていたので、ここではトゥクパとモモを注文した。
食事の後、運転手からナコゴンパに行って待っているのでナコ湖に降りて村を散歩してきたらいいと勧められ、車と別れて村の中を歩いたら、こんな小さな村なのに狭い道が入り組んでいて迷子になる。あたた!
あ、人がいた。すんません、ナコゴンパはどっちですか?
千年の歴史があるというナコゴンパに無事辿り着いて車と合流。さらにタボを目指して長いドライヴを続ける。
(続く)