セヴンシスターズ(北東部7州)で最後まで残ったトリプラ州とミゾラム州を制覇するというお題で、デリーからIndiGoに乗ってトリプラ州都アガルタラに飛んだ。
地図で見ると、バングラデシュに突き刺さったようなトリプラ州と、ミャンマーに突き刺さったようなミゾラム州は実質的にそれぞれ飛び地になっているので、わざわざ出向かない限りたまたま通り掛かることはない。
コルカタで一旦ホップして西からバングラデシュ領空に入り、東まで横断して再びインド領を目指す。アガルタラの滑走路はほぼ国境線上に位置してるので、着陸寸前まで見えているのはバングラデシュの景色。
空港ターミナルから出ると、そこには都会の空港にはないオートリクシャ乗り場がのんびり存在し、さらにその先のゲートを出ると一般道にもまたオートリクシャが屯して客待ちしているので、ここから町の中心まで約14kmを120ルピーという安値で移動できた。
アガルタラには他のほとんどの北東部の都市と同様に交通信号がひとつもない。安全なので警官は銃を携帯しない。
宿はポストオフィスチョウクと呼ばれる中央郵便局近くに取った。かつて東パキスタン(バングラデシュ)から分捕ったという戦利品のタンクがロータリーの真ん中に今でも飾ってある。
このロータリーには警察署もあり、その並びには女性警察署がある。男性は男性警官が、女性は女性警官が取り締まることになっているらしい。
びっくり!世界で初めて聞いた、このシステム。
トリプラ州の主要言語はベンガル語。ちょうどナヴラトリの期間中だったので、町のあちこちにベンガル圏人気No.1のドゥルガのペンデル(パヴィリオン)が建てられ、夜には一斉に電飾が着いて賑わいを見せていた。
ドゥルガを中心にその左右にラクシュミとサラスヴァティ、さらにその脇にシヴァの息子であるガネシャとカルティカ(スカンダ)。
特にすごかったのはこのペンデル、とてもにわか造りには見えん。
竹で作った壁の装飾まで細かく凝っている。
翌朝トリプラ州北部に残る巨大彫刻遺跡ウナコティに向かった。
町を出てしばらく走ると左右に茶畑。他にも水田が青々と広がったり、ゴム林を通り抜けたり、豊かな農業生産の景色を楽しむ。アガルタラは周囲をほぼぐるりとバングラデシュに囲まれていて、その国境沿いをドライヴ。
道路が最も国境線に近づいたところで停めてもらい、僕も片足だけ初めてのバングラデシュの地を踏ませてもらった(笑。
途中どんな小さな村にも必ずドゥルガのペンデルがこしらえてるのが見える。
4時間以上掛かってウナコティに到着。8世紀頃彫られたという岩肌の神々がなんだかシュールな作風。
額に第3の目、左手にトライデント(三叉戟)を持ち、手前にナンディが控えているので、シヴァに間違いない。隣にはさらさらと小さな滝が落ちている。後ろは妻のパールヴァティとドゥルガか。
渓流をさらに一段降りると、今度は息子のガネシャが太鼓腹を見せて並んでいる。
面白い!ちょうど遺跡を見終わったところでかなり激しい雨が落ちてきたので急いで車に戻り、東隣のミゾラム州境に向けて走り始めた。
峠で小象が2頭おとなしく並んで雨宿り。
1時間以上走ると沿道の人々の言葉がミゾ語に変わる。
州境の町、トリプラ州側ダムチェラ、小さな橋の向こうミゾラム側はカヌムンに着いてランチ。
小学生くらいの男の子が店頭で粉をこねたり卵を焼いたり大活躍中の食堂に入った。
ガラスケースに見える右がチキン、左は川魚のフライだと分かるが、真ん中の黒くて丸いのは何だろ?
白いご飯に男の子が目の前で焼いたオムレツ、川魚のフライ、黒丸、サブジを乗せてもらう。表面が焦げた黒丸の中身はクリームコーンコロッケだった。んまい!
食堂の並びの魚の干物屋、味があるなあ。
トリプラ州の警官は銃を持たないのに、この州ではやたらライフルやピストル持ち歩いている男の子が多く、侮れない。
橋を渡ってカヌムン側に入ってみる。
歩いているうちに一緒になった若い女性は、洋品店で新しいサンダルが買えてうれしそう。
とてもいい感じだな、ミゾラム州。見た目東アジアっぽい人々。ここで一般的なのはミゾ語だが、英語教育のキリスト教州で禁酒州、犬食の風習が残るらしい。聞けば聞くほどどこの国だかわからない独特の雰囲気!
この後アガルタラの宿まで引き返すけど、次はミゾラム州単独滞在でまた来たい!
最後の朝、デリーに戻るフライトの前に国境に寄ってもらった。アガルタラの町の中心から車でわずか15分。
運転手が日本からVIPをお連れしましたみたいないい加減なことを言ってゲートを開けさせ、どんどん奥に進んだ。
この白線がまさに国境というところで、手前からインド兵と奥からバングラ兵を呼んで一緒に記念写真撮ってから、町を後にした。
空港の手前、道路脇にまたまた独創的なアートを発見。
なんだ、こりゃ?
ああ、ペンデルだ。みんなでドゥルガに音楽を捧げているというテーマらしい。
ホント、驚きの発見が多い北東州最果て2州の旅だった。まだまだ奥が深そう!