秋も深まってきたことだし、百名山にして中国地方最高峰、大山に登ってみようと、麓の大山寺まで行くバスを調べたら、米子駅から出るらしい。まずは阪急三番街から8:30発米子行日本交通バスに乗る。中国自動車道から米子自動車道へほぼ一直線の道のり、4,900円。
中国山脈を越えて岡山県から鳥取県に入ると、立派な山容が右の窓に広がって驚かされる。
あれが目指す大山か!古くから人々の信仰を集めてきたのも頷ける。
米子駅に着くと、大山寺行きバスの出発まで2時間ほどあったので、ターミナルに停まっていた赤くてかわいい正午発だんだんバス(米子市循環)にそのまま飛び乗り、運転手に米子城に行きたいと言ったら、湊山公園で降りるよう言われる。
10分ほどで着いた公園は、秋晴れの下で子どもたちが遊ぶ、中海に面した風光明媚なエリアだった。振り返ると、標高100mほどの城山があり、本丸への道はこちらとの案内看板に従って、山に入って石段を登る。
明治時代まで大天守と小天守が並び建ったという本丸跡は、境港までの海岸線がきれいに望める市民の憩いの場になっていた。
帰りは歩いて駅まで戻り、大山寺行バスに乗って終点まで、小一時間揺られて730円。
バスターミナルから見上げた大山、明日登るのは正面に見えるあの尾根やな。
お世話になります、よろしく!
大山寺は多くの観光客が集まる旅館街で、参拝と散歩を楽しめた。日本交通が経営している宿も、山小屋程度かと勘違いしていたら、大浴場があって浴衣も貸してもらえる立派なホテルだった。
Gotoのクーポンで、夕食時に地元の名酒、鷹勇の強力(たかいさみのごうりき)を頂いたのと、翌日のお弁当も注文した。ZZZ
翌朝7時に朝食を取ってお弁当を受け取り、7:40夏山登山口から入る。
朝の気温6度とひんやり感じるが、石段を登り始めるとすぐ暑くなって、フリースを脱ぐ。
全体的に木道の整備された歩きやすいルートで、6合目避難小屋で小休止。7合目だけガレた登りになるが、8合目からは視界が開けてとても気持ちいい。
10時弥山着、標高1,709m。(この先20m高い剣ヶ峰への縦走路は崩落が激しく立入禁止)
頂上のデッキに座ってお弁当広げたら、ヘリコプターによる運送作業が始まるので、あと10分で降りるよう告げられ、急いで食べる。
早めの出発でともかくも登頂できてよかったけど、下りですれ違う多くの人が山頂まで行けないかと思うと心苦しかった。
下りのルートは5合目少し上の分岐を右に折れ、行者谷へ。こちらの方が紅葉が美しい。
大神山神社の本堂まで来たら、麓までもうすぐ。
振り返ると、三鈷峰が顔を覗かせている。また大山に来る機会があったら、今度はユートピアルートで東壁を目指したい。
麓に降り、大山口駅から山陰本線各駅停車で倉吉駅を経由し、三朝温泉に入ると陽が暮れた。
温泉街の狭い通りに、射的とスマートボールのある娯楽場を見掛け、タイムスリップした感覚を覚える。入らなかったけど…
登山の後に温泉に浸かる、最高やな!
翌朝、三朝温泉口から路線バスで10分の三徳山へ。
バス停を降りて石段を上がり、志納金400円を支払う。ポールの持込は禁止と言われ、ザックごと料金所に預けた。
既に霊験あらたかな伽藍に入った雰囲気。
投入堂まで往復90分ほどの参道は、途中でリタイアする参拝客も多く、日本一危険な国宝観光ということになるらしい。
本堂の奥へ進むと入峰受付所があり、名前や靴底をチェックされ、ここからの入山料が別料金で800円。
「六根清浄」と書かれた白い輪袈裟を渡され、襷掛けにする。ここで靴底がアウトの判定を受けると、草鞋に履き替えないといけないらしい。
案内板に謳われているのは、赤い欄干の宿入橋を渡って、かづら坂を這い上がり、
くさり坂を手繰り上がり、
文殊堂潜って回り縁を歩き、鐘撞堂で鐘を撞いて、
切り立った馬の背、牛の背を渡り切り、
観音堂の裏を胎内くぐりし、自らに打ち克った者だけが、役行者が投入れたとされる一大奇観、投入堂参拝を許される、ということらしい。
表現が適当でないが敢えて、次々と試練が与えられる天然のフィールドアスレチックは、最高に楽しめた。
2時間後のバスで倉吉駅に戻って京都行きスーパーはくとに乗り、姫路駅で同じホームの新快速に乗り換えて帰宅。夢のような非日常から現実に戻る、何とも言えない奇妙な瞬間。