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プリアヴィヒアの天使

タイのとても暑い時期のこと、土曜日にウボンラッチャターニーで仕事を終え、日曜日はバンコクへ戻るフライトを夕方にした。タイ語でカオプラウィハーン、クメール語でプリアヴィヒアと呼ばれる遺跡に寄ってみたかったからだ。
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この遺跡はタイとカンボジアの国境であるダンレク山中にあり、カンボジアが国際司法裁判所で勝訴して領有権を確定したが、断崖絶壁の上に建っているため、カンボジア側から近寄ることはできず、タイからパスポートなしで入れるカンボジア領、という不思議な扱いになっている。

仕事で一緒だったスタッフ4人と共に、ウボンから1時間半のドライヴ。遺跡の入り口は一応国境になっていて、手前はタイ警察が、越えるとカンボジア軍が警備に当たっている。道端の土産物屋もクメール人に変わった。

灼熱の中、表参道を登る。1000年近い歴史のある石段。頂上の本堂に着くと、アンコールワットのような大きいつくりのものではないが、堂々たるクメール建築が残っている。中でも圧巻は、本堂の先の断崖絶壁!眼下にカンボジアの平原が広がる。クメール代々の王がこの地を崇めた気持ちもうなづける。
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カンボジア側から駐車場のあるタイ側に戻る途中、4歳くらいの小さい女の子が何か言いながら近寄ってきた。物売りだろう、「マイアオナ(要らないよ)」と答えて、彼女の方に目を向けずに通り過ぎようとした。

「水ください、って言ってますよ」とスタッフに言われた。「あっ、これ?」。表参道を登る前に一本ずつペットボトルの水を買ったが、まだ飲みきらずに、ボトルを右手にぶら下げていたのは自分ひとり。ほんのちょっと、すっかり温まった水がボトルに残っていた。

そうか、これが欲しかったのか。考えてみれば、この炎天下の山の頂上にいて、水が飲めないことがこの子達にとって一番つらいはず。「はい」。

「コップンカ」と顔の前で両手合わせてワイされてしまった。天使のような可愛さだった。よかった、スタッフが注意してくれてなかったら、この場で地獄行きが確定したかもしれない場面。
by phraganet | 2007-03-09 01:06 | カンボジア

アジアを歩けば何に当たる?タイやインドでの煩悩な日常と、気ままな旅のメモ


by プラがね: